耳栓レポート
一口に耳栓と言っても、多種多様であり、一見同じように見えても、実際使ってみると防音性に格段の差があったり、また、高級な耳栓が必ずしも満足のいくものとは限らかったりと、結構奥の深いものなのだ。
イヤーホリデイ
今回、私が最初に試したのはピップのイヤーホリデイである。
自宅から一番近くのドラッグストアにそれしか置いてなかったのだ。
イアーウイスパーの退屈な円柱形状とは異なり、イヤーホリデイのベル型形状は実に美しい。 さらに、その流線型に尖った先端が、耳の中にうまくフィットしそうな予感を感じさせてくれる。
そして予想通り、それはすんなり入った。
と思ったが、左耳の方が若干入りにくかった。
最初は利き手の問題かと思ったが、とうやら違うらしい。
私の場合、左耳の穴が小さいようだ。
それでもイアーウイスパーよりははるかに入れやすい。
多少時間はかかるが、工夫すればなんとか入る。
防音性はどうだろうか? 防音性もなかなかのレベルだ。
今日から一日中イヤーホリデイを付けて過ごすぞ、と思ったがその考えは甘かった。
長時間付けていると、耳の穴が痛くなってくるのだ。
浅く入れた場合はそうでもないが、それではたいした防音効果が期待できない。
だから、頑張って奥まで突っ込むのだが、時間が経つと痛くなる。
どうやら防音効果と痛さは比例するらしい。
それでも我慢を続けているとさらに痛くなり、だんだん腹が立ってくる。
耳栓の防音性能を最大限に引き出し、かつ極力痛くならないような入れ方と時間配分を考える必要があるようだ。
でもまあ、イアーウイスパーは十分満足のいく耳栓には違いない。
フランジタイプの耳栓
クレトイシのコンフィット耳栓をAmazonで注文した。
フランジタイプの耳栓も試してみたい思ったからだ。
痛みのため耳栓のつけっぱなしが無理となると、騒音が発生したときに装着し、騒音がしなくなったら取り外す、というような使い方をするしかない。
この場合、フォームタイプの耳栓だと、丸めたり押さえたりする作業がいちいち面倒になってくる。
フランジタイプだとその手間が省けそうだ。
Amazonから商品が届いたので早速試してみた。
評価は…ダメだこりゃ。
確かに装着は簡単だが、防音性能はまったく話にならない。
これじゃ、もはや耳栓とはいえないのでは?
フランジタイプの耳栓は今後二度と買うまい。
サイレンシア
イヤーホリデイを買ったドラッグストアとは別の店でサイレンシアを買ってみた。
弾丸型の形状をしており、イヤーホリデイよりかなり長くて、若干太い。 もちろん、裾の部分はイヤーホリデイの方が太いのだが。
防音性能は明らかにイヤーホリデイより優れている。
しかしその分圧迫感もあり、当然痛い。
調子に乗って奥まで突っ込むと、泣きそうになるぐらい痛かった。
やはり防音性能と痛さは比例するのだ。
痛くなくて、防音性能も高い耳栓はないものだろうか。
ミスサイレンシア
それならばとミスサイレンシアを試してみた。
結論から言うとサイレンシアとミスサイレンシアはまったく同じものだった。
色が違うだけなのだ。
「ミス」というネーミングから、女性向けに開発された小さめの耳栓を連想していたのだが、どうやら私の思い込みだったようだ。 ネットでも勘違いしている人が多い。
プラシーボ効果だろうか?
「サイレンシアからミスサイレンシアに切り替えたら耳が痛くならなくなった」という女性のレビュー。
まったく同じ商品なのに…
しかもミスサイレンシアの方が値段が高かったりするのだ。
1100
ドラッグストアで3Mの1100を買った。
いわゆるダイソーオレンジと呼ばれるやつだ。
サイレンシアよりも明らかに太くて固い。
こんな太いものが耳に入るのかと思いながら入れてみた。
復元力が弱いのだろうか?
それほど圧迫感は感じなかった。
ゆっくり膨らむので耳に入れやすい。
耳栓に慣れていない初心者には都合がいいのかもしれない。
フィット感を考えてのことだろうか?
表面に糊のようなべたつき感がある。
そのため使っているうちに汚れがつきやすい。
ネットではある程度人気のある耳栓なのだが、私はどうも苦手だ。
NoiseSoft
NoiseSoft
優れた防音性能と快適性を兼ね備えた耳栓を探し求めてネットをさまよった。
どうやらNoiseSoftという耳栓がいいらしい。
販売店(耳栓.jp)のサイトを見るとNoiseSoftがいかに優れた耳栓かということを声高々に謳っている。
期待して注文した。
すぐに届いた。
外見はサイレンシアにそっくりだ。
ていうか同じじゃないの?
評価は…
う~ん、どうだろうか、「サイレンシアより防音性能が上で耳あたりも良い」と言われればそんな気もするが、決定的な違いはわからなかった。
ただ少なくとも、サイレンシアよりはるかに安い値段で買えるのはありがたい。
サイレンシアを買うぐらいならNoiseSoftを買った方がいいだろう。
後で分かったことだがNoiseSoftとAnzen mallで売っているイアーソフトN1は同じ耳栓。
送料などを考慮すると、10個以上買う場合はイアーソフトN1の方が安い。
最初に耳栓.jpでNoiseSoftを5個買って、使ってみて気に入れば、以後Anzen mallでイアーソフトN1をまとめ買いする、というのが賢い買い方だと思う。
世界の耳栓お試しセット
ヤフーオークションで「世界の耳栓お試しセット」を落札した。
アメリカで売られている耳栓の種類の多さに実に驚いた。
アメリカでは耳栓の需要も供給も多いのだろう。
街角でディスペンサーで売られているぐらいなのだから。
そう考えると、日本の耳栓市場はかなり遅れているといえる。
実は、私がオークションを利用するのは今回が初めてだ。
オークションというものをあまり信用しておらず、なるべく利用しないようにしてきたからだ。
だが、Moldexなどの耳栓は国内未販売のため、ヤフオクでしか手に入らない。(1)
無論、アメリカの通販サイトから直接取り寄せるという手段もあるのだが、その場合最低200ペア単位での取引になってしまう。そんなにたくさんはいらない。
だから今回はオークションに頼らざるをえなかった。
そして問題なく商品は送られてきた。
<注>
(1)
これは、この記事が書かれた2008年の話。今ではAmazonでMoldexなど海外の高級耳栓が簡単に手に入る。↓↓↓
Moldex
Moldexの耳栓(Camo、Spark、Goin' Green、Pura Fit)を試してみた。
低音域における防音性能に定評のあるMoldex。
ところが、周波数別防音性能比較を見てもらえばわかるように、Moldexは低音域のみならず高音域においても他社メーカーの耳栓を凌駕しているのだ。
そして、Camo、Spark、Goin' Greenの周波数別防音性能はすべて同じ。
Pura Fitだけが他の3製品より若干劣っているといえる。
形や大きさは微妙な違いはあるのだが、だいたいは同じ。
そして、Moldexの耳栓はサイレンシアやNoiseSoftよりも圧迫感が少ない。
サイレンシアやNoiseSoftが、耳の中で全力で復元しようとするのに対し、Moldexの耳栓は耳の穴に融和しながら優しく復元しようとしてくれる。
肌触りは、Spark、Pura Fit、Goin' Green、Camoの順にソフトだった。
特に、Sparkのスベスベした感触の良さと柔らかさが突出しているようだ。
私はSparkが断然気に入った。
ネットでの人気はどういうわけかPura Fitの方が高いようだが。
まあ、いずれのMoldexの耳栓も、私の嫌いな犬の無駄吠えの騒音を見事に弾いてくれた。
ただ、本来なら不快に感じない音のレベルにまで下がっているはずなのだが、やはり気になってしまう。
騒音主に対する「憎しみ」の分だけ騒音レベルがかさ上げされてしまっているのだろうか……。